ロータリー財団奨学生中間報告 井本 望(第2回)
2023年12月13日
2022 ~ 2024年度 グローバル補助金 奨学生
井本 望
第2回 中間報告書(2023年11月1日 ~ 2023年11月30日)
1. 基本情報
カウンセラー(派遣側) | 米澤 哲也 様(宇佐ロータリークラブ) |
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カウンセラー(受入側) | Georgina Reed(R.C of Brighton & Hove Soiree) |
教育機関 | University of Sussex |
専攻分野 | 平和構築と紛争予防 |
2.学業面での成果,状況,予定等
11月は秋学期の中間課題の提出が2本あり、課題に追われた月となりました。初めての課題対応ということで、早めに10月から少しずつ対策していたつもりでしたが、課題とは別に毎週の授業の予復習も並行していたところ、最後はやはり時間との闘いとなりました。
中間課題のうちの一つがBook Reviewだったのですが、Book Review自体が初めてであること、また本の分量が300ページ弱あり、1回読んだだけでは批評など出来るはずがなく、理解して、自分の中で落とし込んで、人類学的に分析していくというこのプロセスが、私にとっては本留学の最初の難関だったように思います。加えて、英語での参考文献の引用や参照の仕方、特定の引用スタイル、アカデミック・ライティングの基本的な構成についてなど、これら全ても初めてであり、授業とは別に、大学が提供している留学生対象のスキル・サポートのクラスに自主的に出席したり、PhD Mentor(博士課程在籍の学生によるサポート)に相談に行ったりするなどして、必要なスキルや視点を習得していきました。
今回のBook Reviewでは、ブラジルのアマゾン地域に居住する特定の民族を対象に行われた長期参与観察とインタビュー等を基にまとめられた民族誌が題材でした。一冊の民族誌に本格的に触れたのは今回が初めてで、課題対応としては本当に苦労しましたが、本を読み進めながら、同民族が日常的にとても大切にしている存在や考え方、価値観、世界観、慣習等を深く詳細に知っていくにつれ、それらは写真を一見しただけでは想像すらつかなかった域のものであり、それらを緻密に解き明かしてくれた人類学者がいるということ、その人類学者の深い現地理解のもとでは現地の人々との真の信頼関係が構築されていたということ、そして同民族が有する繊細で優しい文化に感動させられたほどでした。
Book Reviewを通じて、本、とりわけ民族誌の読み方を早速実践的に学ぶことができ、大変良い機会になったと思っています。民族誌は人類学の核であり、今回の課題設定のお陰で早速民族誌の深さ・面白さに触れることができたため、引き続き積極的に読解にあたっていきたいと思います。
University of Sussexの図書館
図書館前に広がる木々は癒しの場
3.受入ロータリーとの交流
11月9日(木)、毎月一回開催されるディナー例会にご招待いただき、自己紹介を兼ねたプレゼンテーションを行いました。大学院での勉強の忙しさを考慮してくださり、同クラブからは9月下旬の段階で既に頭出しがあり、また5分で良いとのことで、配慮がとても有難かったです。当日は、選出された第2720地区および大分・熊本について、これまでのキャリア、現在の大学院での勉強の様子、そして今後のビジョンについてお話させていただきました。プレゼン後には直接声を掛けに来てくださった方々もいて、反響を頂き、励みになりました。また、ディナーや会の前後にて、何人ものロータリアンの方々とお話することができ、良い交流ができて嬉しかったです。最後に、宇佐ロータリークラブよりお預かりしていたエンブレムをPip会長へお渡しさせていただきました。喜んでくださり、写真は記念の一枚です。
例会でのプレゼンの様子
Pip会長へお渡ししたエンブレムと共に
4.その他(留学先での出来事等)
秋が深まるにつれ、カルチャーショックを受けたのは、どんどん短くなっていった日照時間でした。11月末の時点で、朝は7時半過ぎ頃に日の出を迎え、夕方4時頃には日が暮れて、外は真っ暗、すっかり夜のようになります。図書館で勉強しながら、午後3時台にも関わらず窓から見える景色がみるみるうちに暗くなっていく様子を見続ける日々を送っていると、私は徐々に日中の太陽が出ている時間帯を惜しむようになりました。日中の外気温は5度前後とそれほど寒くないため(慣れました)、出来るだけ外で日差しを浴びながらランチを食べたり、休憩がてらキャンパス内で森林浴をしたりするなど、意識して日中に太陽と自然に触れるようにしています。イギリス最南端の地域とは言え、実は北海道よりも北に位置しているブライトン。日照時間が人間の精神面に無意識下に及ぼす影響は侮れないと思いますので、高緯度の国ならではの快適な過ごし方をもっと身につけていければと思います。