ロータリー財団奨学生中間報告 松本 冴未(2018年8月28日)
2018年09月11日
2017-2018 年度グローバル補助金奨学生
松本 冴未
2018年8月28日
ケンブリッジ大学MBA月間レポート 9
マラウィでの最終プロジェクトが終わり、いよいよ明日帰国いたします。あっという間の1年でしたが、MBA留学中に学んだものは非常に多く、今後の人生の糧になると確信しています。本最終レポートではマラウィでの活動についてまとめます。
African Business Institute について
African Business Institute(略称ABI) という教育機関にて6週間コンサルタントとしてボランティアをしてきました。ABIは、アフリカン・バイブル・カレッジというキリスト教系の大学の一部として4年ほどまえにウガンダで始まり、今年の1月からマラウィにて開校しているビジネススクールです。私のケンブリッジMBAの先輩でもある日本人の塩満さんが校長を務めています。マラウィはいまだに汚職が蔓延しており、欧米諸国や国連の経済支援を受けているにもかかわらず、一般市民へその恩恵が行き届いていません。国民一人当たりのGDPも$1000ほどと少なく、アフリカの中でも最貧国の1つです。農業以外の産業がないため、生活必需品は輸入に頼っており、外国の民間企業の参入も少ないのが現状です。ABIはマラウィで起業家を育てることを目的としています。興味深いことに、ABIは単なる学校にとどまらず、1)投資家を欧米から集め、ABIの学生が授業の一環として始めたからビジネスアイディアに対し投資を行い成功させる機能(ファンド)と、2)アフリカ進出を目指す外国企業へのアドバイザリー機能(営利目的のコンサルティング事業)を合わせ持ちます。つまり、本気で起業したい学生のためのサポート体制が充実している機関といえます。
プロジェクトの内容とマラウィの環境
私は2つのプロジェクトを担当しました。1つ目は、ABIのソーシャルメディア活用戦略です。ABIが継続するためには、学生、先生、投資家を継続して獲得する必要があります。このためのマーケティング活動はこれまですべて口コミにて行われていましたが、これには多大な時間がかかっていました。ソーシャルメディアを使えばより少ない手間と人員で多くの人にABIを知ってもらうことができます。ソーシャルメディアを使った「うまいやり方」を考えるのが私の役目でした。(例えば、どのような内容の投稿をメディア上にすると効果的か、どうやって効果を計測するか、など。)2つ目は、ABIの持つアドバイザリー部門の1案件へ参加しました。ブロックチェーンという技術をアフリカの小規模農家向けに展開し、農村の人々の生活を豊かにする計画の一部を担当しました。具体的には、インドネシアで成功した収入モデルをウガンダ・マラウィでも実現させるための仕組みづくりを考えました。
これら2つのプロジェクトを、ABIのインターン生とスタッフの皆さんと一緒に行いました。計画停電や不安定なネット回線の影響で、1日のうち生産的に働ける時間は実質4時間ほどと限られていたのですが、そのような環境下でも工夫して過ごすことに徐々に慣れていきました。また、食生活や移動の面では途上国ならではの不便を感じました。4週目には体調も崩しました。しかし、ABIの運営に来ているブラジル人家族や現地人スタッフ、アメリカ人の先生たちに多々助けられ、なんでも自分で解決するのではなく、適度に周りの人に頼りながら生きていくことの大切さに気付きました。人に迷惑をかけないことが美徳とされる日本やイギリスだけにとどまっていては、体感できない経験だったと思います。仕事面においても、ABIのみなさんのお役に立てたようで嬉しく感じています。
ロータリークラブの皆さんへの御礼
最後に、本留学を終えるにあたり、熊本江南クラブおよび大分熊本地区のみなさまへ改めて御礼を申し上げます。留学前より多々サポートをいただきました林様奨学金委員長、温かく送り出していただいた伊牟田会長、永田ガバナーをはじめ、皆様のおかげで無事に留学生活を全うすることができました。貴重な機会と奨学金を投資いただき、誠にありがとうございました。これからは、大分熊本地区の今後のグローバル奨学生のサポート活動や卓話などを通じ、何かしらみなさまへおかえしが出来ますと幸甚です。
ABIの皆さんと訪れた村にて撮影
ABIのスタッフの働きぶりについて、家族に紹介している様子
首都近郊の村にて
ABIのスタッフとその家族と撮影
リロンウェのロータリークラブ、定例会の様子
定例会に、ABIのスタッフ(Beatrice)と一緒に訪問。将来のグローバル奨学生にふさわしいため、紹介しました。