地区補助金奨学生中間報告 高橋 春菜(第2回)
2020年04月10日
2019 ~ 2020年度 地区補助金(DG)奨学生
高橋 春菜
第2回 中間報告 (2019年10月1日 ~ 2019年10月31日)
1. 基本情報
カウンセラー(派遣側) | 林明様(熊本江南ロータリークラブ) |
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教育機関 | カリフォルニア大学バークレー校 |
専攻分野 | ロースクール |
2. 報告
(1)研究活動
10月25日、サンフランシスコのNPO法人Legal Aid at Workを訪問し、所属する弁護士にインタビューを行いました。勤労者の権利保障を目的として、安価でのリーガルサービスや研究・政策提言を行っており、低所得につながりやすい障害者を重点分野の一つに掲げています。
当団体ではクラスアクション訴訟を活用しています。原告と同じ立場におかれた全ての人に効果を及ぼせるため、社会的に大きなインパクトをもたらせるアメリカ独自の制度です。障害者については、障害のあり方とニーズが多種多様でありクラスアクションは馴染まないため、個々の案件やロビイングが主な手段となるとのことでした。後日、障害者向けの無料法律相談(ヘルプライン)にも参加させていただきました。
ちなみに、アメリカでは当団体のように、法律事務所ではなくNPOに弁護士が勤務する形態がよくあります。特定のSocial Justiceを目的とする法律事務所も存在します。法律事務だけでなく研究やロビイング活動、政策提言も行いますし、弁護士だけでなくファンドレイザーやメディア戦略担当なども勤務しています。助成金や寄付金を主たる運営資金としている場合が多いようです。こうすることで弁護士費用を払えない層にも法律サービスを提供できますし、提起したい訴訟をデザインしてから原告を探すこともでき、より積極的な姿勢でSocial Justiceに取り組むことが可能となります。日本にはない弁護士の働き方として非常に参考になります。日本でも「社会正義の実現」が弁護士の使命とされていますが(弁護士法1条1項)、事務所の経営をクライアントからの報酬に依存する限り、その関わり方には限界があります。このような違いを生む背景には、弁護士数の差(日本41,118人、アメリカ1,257,732人:2019年度版弁護士白書より)もありますが、寄付文化や、公的・私的問わず潤沢な助成金の存在が大きいでしょう。
(2)ロータリー財団との交流
ロータリー財団バークレー支部のランチミーティングにお招きいただき、10月16日に参加しました。UCバークレー近くの教会で、約70名程度が参加する盛大な会でした。障害法の研究をしている旨を一言ご挨拶させていただいたところ、会場の方から弁護士や研究者をご紹介いただきました。ロータリアンの繋がりに感謝しています。
(3)その他
89歳で現役真っ只中、がん手術を経て復帰したRuth Badger Ginsberg(愛称RBG)連邦最高裁判事が、UCバークレーを訪れ講演を行いました。キャラクターグッズも販売されているほどの大人気裁判官です。
(https://www.etsy.com/listing/722987829/rbg-doll-pattern-only-for-ruth-baderより)
実物の彼女は、背中の丸まった小柄な姿でしたが、堂々とした低い声で話し始めると威厳のあるオーラが発せられます。トップの成績でロースクールを卒業したけれども、民間の性差別が禁じられていなかった1959年当時、法律事務所に就職口はなく、仕方なく裁判官になった、今だったら別の職業についていただろう、と言い、バークレーロースクールの男女比がほぼ等しいことを祝福していました。